El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

NHKスペシャル「一兵卒の戦争」古山高麗男

古山高麗雄

テッド・チャンあなたの人生の物語」、昨日酔っ払いながら読んだためかよくわからなかった。読んで星3つつけてはいるが。「数学セミナー」の書評ほどには伝わらなかった。もう一度読んでみる。今日から古山高麗男戦争三部作の一番目「断作戦」を読む。あー、これはあのNHKスペシャル「一兵卒の戦争」を見ているからこそスムーズに読んでいけるなあと感じる。マルチメディアと言ってもやはり書かれたものは形態としてもっとも安定している。映像は、書かれたものの理解を助ける、あるいは書かれたものを読むきっかけを与えてくれる。ただし、映画化された名作を、原作を読まないで映像で経験することはよくないと思う。文章から映像に変換するとき、文章にある情報は映像の一、二割に過ぎないだろう。つまり残りの八、九割は映像化の段階で挿入された情報で、脚本家や監督が原作から想像したもの。この部分は読み手によって様々に変化すべきもの。映像を先に見るとそこに先入観ができてしまう。今回のように、ブックガイド的な映像はとてもいい。録画しておかなかったのが残念だ。