El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

森の生活

 二年間こもってみました?

森の生活 上: ウォールデン (岩波文庫)

森の生活 上: ウォールデン (岩波文庫)

 

 20040502 ソロー「森の生活(上)」を読む。散文詩的で眠くなる。まあ、そういう暮らしの話なので当然ではある。ソローの超越論的な意見がどーっと前面に出ているところはおもしろいのだが、ウォールデンの描写が延々と続くところはつらい。日本で言えば、方丈記をだらだらと引き延ばしたという感じではないのかと。

20040511 朝の電車でソロー「森の生活(下)」(赤307-2)を読了。森の生活の情景描写はいささか退屈。あれだけ書いておいて結局2年間しか続けていないというのは、なんかヘンなのでは。もっともその根本にあるところの豊かで便利な生活を維持するために逆に不便でキツい暮らしぶりになることを批判する=「神曲」の金の袋をもって引きずりまわしている地獄と同じ構図、という考えは明確に出ている。