El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

中学生・高校生の頃の読書の記憶

月と六ペンス(モーム

中学生向けの簡訳だったと思うが緑色の何らかの全集の一冊。学校の図書館で借りてよんで、初めて本の中の世界に耽溺した。まあ、読書の原点と言えるかも。そういう経験のせいかモームの作品はその後もわりと読んでいる。「お菓子とビール」もよい。

タラス・ブーリバ

これは赤いカバーの文庫本で読んだ。3-5冊くらいはあったのではないか。大人向けの本を初めて最後まで読んだ・・・という記憶はあるのだが、実際は読んだのかどうか。今では疑問である。

庄司薫の四部作

白鳥の歌なんか聞こえない」をNHKのドラマでやっていた。仁科明子のデビュー作らしい。調べると1972年のことなので15歳(中学三年)のこと。都会の大学生や男女関係を感じたのだろう。四部作をすべて買って読んだ。

ドクトル・マンボウ シリーズ

当時は北杜夫遠藤周作が人気作家でドクトル・マンボウものと狐狸庵もの。医学への志向性があったのかドクトル・マンボウの方を好んで読んでいたと思う。航海記、青春記。

畑正憲

ムツゴロウさん。九州(日田)、受験の流れで「ムツゴロウの青春記」を読んで都会に出る日に憧れてみたり。

司馬遼太郎

坂の上の雲」を木村氏と読んでいた。それに続いていろいろ読んだかも。当時の若者の歴史観はだいぶ影響されたと思う。ちょっと底が浅い感じはしないでもない。

五木寛之

五木寛之の最初の作品集が出る時代で「ムンクの叫び」を表紙にあしらったその作品集を毎月楽しみに買って読んだ。高校時代か。

北山修

音楽から入って当時医大生だったということもあってあこがれもあって読んでいた。後年、九大の文学部教授になるとは。

伊丹十三

高校の修学旅行で京都駅の本屋で買ったのが「ヨーロッパ退屈日記」。それからはまってほとんど買って読んだ。映画監督として成功してからはちょっと縁遠くなってしまった。失敗は成功の母であり、成功は失敗の母である、となればすべてにおいて極端をもとめない態度が必要か。