El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2021-01-01から1年間の記事一覧

日本の血脈

「女帝 小池百合子」を読む前に肩慣らしとして 日本の血脈 (文春文庫) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon BAD BLOOD(エリザベス・ホームズの詐欺事件)を読んで、日本のホームズは小池百合子?!ということから「女帝 小池百合子」を読む予定だが、本が届く前…

燃える部屋(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (17) 2014年 ボッシュ64歳の設定 燃える部屋(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ついにボッシュの年齢が読み手である私の実年齢に到達。同じように定年延長制度のおかげで好きな仕事に精を出している…

僕は偽薬を売ることにした

意外とマジメなプラセボ論だが思い込みも強い 僕は偽薬を売ることにした 作者:水口直樹 国書刊行会 Amazon タイトルとヘタウマなイラストでまともな本ではないのかもと思って読みだしたが二つの点で有益。 まず第一に、1,2章におけるプラセボの歴史をふまえ…

ブックガイド(98)―指先採血で世紀の詐欺!―

「新しい検査法」に要注意! BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコン…

ベロニカとの記憶

三度見ても新しい ベロニカとの記憶(字幕版) ジム・ブロードベント Amazon ジュリアン・バーンズの「終わりの感覚」を映画化したもの。映画の英語タイトルは原作どおり「Sense of an Ending」なのだが、ちょっと難しいからか邦題は「ベロニカとの記憶」と変…

病理医が明かす 死因のホント

病理医が解剖しなくなったという現実 病理医が明かす 死因のホント (日経プレミアシリーズ) 作者:榎木 英介 日本経済新聞出版 Amazon 著者は1971年生まれの病理医。病理医が死因究明にどれだけからんでいるのだろうとおう思いで読んでみたが、当てが外れた感…

ブラックボックス(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (16) 2012年 ボッシュ62歳の設定 ブラックボックス(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ62歳は再雇用でLAPDの未解決事件特捜班の刑事。1992年のロサンジェルス暴動から20年目ということで、当…

花粉症と人類

あくまでも花粉症の文化人類学(医学的ではまったくありません) 花粉症と人類 (岩波新書 新赤版 1869) 作者:小塩 海平 岩波書店 Amazon この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1…

ウンコはどこから来て、どこへ行くのか

「うんちの行方」(新潮新書)のほうがおもしろい ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ (ちくま新書) 作者:湯澤規子 筑摩書房 Amazon 同時期に同じテーマの新書「うんちの行方」が出て、ちょっと気の毒だけど「うんちの行方」のほ…

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相

これが「魔性の女」ということ? BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon セラノス事件・・・とにかく上昇志向の強い女性起業家が「指先採血で採取した数滴の血液から8…

転落の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(15) ボッシュ61歳(2011年) 転落の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュも61歳、だんだん私の年齢に近づいてきて、同じような悩み。再雇用やその延長・・自分でも捜査のキレがなくなってき…

Dr. House 全8シーズン 177エピソード 完全視聴!

Dr. Houseのようでありたいような、いやそれはダメなような・・・ House - Complete Season 1 -8 [Blu-ray] Hugh Laurie Amazon 2021年2月9日から見始めたDr. House 全8シーズン、177エピソードを10月17日にすべて視聴した。各シーズン20エピソードくらいな…

アメリカの病

コロナ禍の中、重病になった著者の怒りで ちょっと冷静ではない? アメリカの病:パンデミックが暴く自由と連帯の危機 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon これまでTimothy Snyderの本をいくつか読んできた。東ヨーロッパ…

暴政

文庫本サイズにまとめられた暴政からのがれる道。 暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon しっかりとした自分を持て、ネットに頼りすぎて騙されるな、めんどうくさいが民主的手続きを…

続・私の本棚 (7)「寿命」還暦過ぎて自覚したのは

還暦過ぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのセカンドシーズン「続私の本棚・還暦すぎたら一般書で最新医学」です。 第7回のテーマは「寿命」です。(ちな…

ナイン・ドラゴンズ(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (14) ボッシュ59歳 ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon LAの中国系住民と蛇頭(?)なのか三合会という裏組織。中国系同士の犯罪といってもLAで起こればLAPDが捜査しなくてはならな…

脳を司る「脳」

脱・ニューロン中心主義 脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス) 作者:毛内拡 講談社 Amazon 脳の働きは、ニューロンが担っている――この「ニューロン中心主義」の常識が覆されようとしている、というテーマの本。 確か…

ブックガイド(97)―死こそが永遠の生―

生物はなぜ死ぬのか 生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 講談社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、査定歴24年の自称査定職人ドクター・…

霧中の読書

私を読書に駆り立てる・・・ 霧中の読書 作者:荒川 洋治 みすず書房 Amazon 詩人、荒川洋治さんがみすず書房から出している読書エッセイを最初に読んだのは「忘れられる過去」で2004年2月読了と書き込んでいる。以来「夜のある町で」「世に出ないことば」「…

真鍮の評決(上・下)

ボッシュの弟がリンカーン弁護士 真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ・シリーズのマイクル・コナリーのもう一つのシリーズ「リンカーン弁護士」の2作目(1作目は映画は見たが未読)にボッシ…

一九八四年

Audibleで聴きました。 一九八四年〔新訳版〕 作者:ジョージ オーウェル,高橋 和久 発売日: 2019/04/19 メディア: Audible版 5月にAmaozn Audibleでダウンロードしていたもの。夏が過ぎてウォーキングしやすい季節になったので9月から今日まで歩きながら聴き…

死角 オーバールック

ハリー・ボッシュ シリーズ(13) 死角 オーバールック (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ハリー・ボッシュ シリーズ、13作目はアップテンポ。訳者解説にもあるようにNYタイムズ・マガジンに1回3000語という制約で16回の連載で完結した…

自由なき世界(下)

これこそが2010-2015の世界史 自由なき世界 下:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon 上巻でウクライナに侵攻したロシアだが巧みな情報戦略で国際的にも何が何やらわからない状態…

民主主義とは何か

ファイティングポーズをとれ!と言いたい 民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 講談社 Amazon 民主主義と代議制、民主主義と自由、そうした論点を明らかにしつつ民主主義の歴史を丁寧に教えてくれる。 そして最後に「平等化のメカニズムは停滞…

自由なき世界(上)

プーチンのロシアが目指すファシズム社会 自由なき世界 上:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon プーチンがロシアの大統領になって、それまでの共産主義 VS 資本主義では理解でき…

エコー・パーク(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(12) エコー・パーク(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ56歳、前作から再雇用制度で再びロス市警へ。ライダーとともに未解決事件捜査班に。骨格はAmazon Prime のBOSCHシーズン1のうちウェ…

名画で読み解く ロマノフ家 12の物語

ロシア的、なんでもあり 名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書) 作者:中野 京子 光文社 Amazon 現代ロシア=プーチンのロシアのことを調べていて、ロシアらしさとは何なのか、ぼんわりわかったような気がしたので、それを確認するためにざっくり…

私たちはどんな世界を生きているか

どんな世界を生きてきたか・・しかわからない 私たちはどんな世界を生きているか (講談社現代新書) 作者:西谷 修 講談社 Amazon なるほど、ネット社会や新自由主義やGAFA、それにコロナ禍がのっかって先が見通せない今、その今に至る世界はどういう具合に形…

終決者たち(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (11) そこはプリペイド携帯でしょ! 終決者たち(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon Amazon PrimeのBOSCHシリーズが完結し、再度、全シーズン通しで見てしまった。それでも、もっとボッシュの世界に浸…

天使と罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(10) 詩人(The Poet)との最後の闘い 天使と罪の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 前作「暗く聖なる夜」で警察やFBIという組織を離れながらも協力して事件を解決したボッシュとマッケイレブだっ…